フィンランドの在留許可に申請する際、
源泉徴収票、雇用契約書などの日本語で書かれた公式文書は、
英語(またはフィンランド/スウェーデン語)に翻訳しなければなりません。
これらの翻訳文書は、成績や卒業証明書のように大学に作ってもらうわけにはいかず、
翻訳会社に依頼しなければいけません。
「認定翻訳者による翻訳文書って何??」
「アポスティーユ証明、公証って何??」
この記事はこれらの疑問に
その際の注意点や、疑問点を解消していきます。
翻訳書類が満たさなければならない条件
フィンランドの在留許可申請では、源泉徴収票、雇用契約書などの公式文書の提出を求められます。
これらの日本語で作成された公式文書は、英語(またはフィンランド語やスウェーデン語)に翻訳する必要があります。
前提として、これらの翻訳文書は、自分で作成してはならず、翻訳会社に依頼する必要があります。
しかし、翻訳会社に依頼する場合でも、フィンランドの在留許可申請において、翻訳文書が正式な書類として認められるためには、
いくつか満たさなければならない条件があります。
その条件とは…
フィンランド公用語および英語以外で作成された文書について
戸籍謄本や出生証明書などフィンランド公用語(フィンランド語、スウェーデン語)および英語以外で発行された文書は、外務省によるアポスティーユ証明と認定翻訳者による翻訳文が必要となります。詳しくはフィンランド移民局のページをご確認ください。
以上の文言によると、「外務省によるアポスティーユ証明」があることと、
「認定翻訳者による翻訳文」であることが、正式な翻訳文書として認められる条件のようです。
では、この
- 外務省によるアポスティーユ証明
- 認定翻訳者による翻訳文
とはそもそも何を指すのか、について次に説明していきます。
アポスティーユと認定翻訳者とは
アポスティーユ証明
“アポスティーユ証明とは”
アポスティーユ証明は、公的書類に対して付けられる、国際的に認められた公証のことです。
異なる国々の公的書類を扱う際に、その書類が発行された国の公的機関によって認証されたことを証明するために、さまざまな公的書類に対して付けられます。
具体的には、留学や移住などで、国外の機関や移民局に対して公的書類を提出する際に必要となる場合があります。
アポスティーユ証明は、1961年に締結された「ハーグ法の適用に関する条約」に基づいて導入されたものであり、ハーグ条約に加盟している国々で公的書類を提出する際には、アポスティーユ証明が必要とされます。
詳しくはこちらをご覧ください。
認定翻訳者
“認定翻訳者とは”
認定翻訳者とは、公的な書類や文書の翻訳を専門的に行う人のこと。所定の要件を満たし厳しい試験に合格した者が認定を受けます。
具体的には、”認証者として、公的機関や政府が承認する翻訳者協会により認可された、正規の翻訳者” が、認定翻訳者と呼ばれます。(詳しくはこちら)
認定翻訳者は、法律文書や契約書、出生証明書、卒業証明書、その他公的書類など、多様な種類の書類の翻訳に対応できます。
しかし、認定翻訳者は日本に存在するのでしょうか?
日本には、社団法人 日本翻訳連盟が認定する「翻訳士」という資格が存在しますが、
これは翻訳者になるために必須の資格ではなく、あくまで翻訳者としての信頼度を上げるために制定されたもののようです(参考)。
そのため、「翻訳士」は、公的機関や政府が承認する翻訳者協会により認可される必要のある「認定翻訳者」とは異なります。
認定翻訳者について、フォロワーさんが有限会社トランスゲート 翻訳事業センターさんに問い合わせたところ、
「日本では翻訳者を認定する制度そのものが存在しておりません」とのこと。
さらにフィンランド大使館さんからは
「認定翻訳者は(日本には存在せず)フィンランドにしか存在しない」とのご回答をいただきました。
このことから、「日本には認定翻訳者を制定する公的な制度がない」ということが言えます。
承認されるような翻訳書類を作るには…
さて、フィンランドの在留許可申請中、日本語で書かれた書類を提出する際には
「アポスティーユ証明」と「認定翻訳者による翻訳文」の両方が必要とのことでした。
しかし、上での解説通り、なんと日本には認定翻訳者が存在しない説が浮上。
それでは、一体どうすれば在留許可申請で認められるような翻訳文書を用意できるのでしょうか?
認定翻訳者の代わりに”公証”
フォロワーさんがフィンランド大使館さんに問い合わせてくださり、以下のように回答を得ました。
※公証制度は、公証人による証書の作成により、法的な効力を持たせる制度です。公証人は国が定める公証人法に基づいて任命されます(参照)。
あまりはっきりとした回答ではありませんでしたが、つまり、
「翻訳書類は公証とアポスティーユ証明があれば確実」ということのようです。
“認定翻訳者による翻訳文” の作成は無理ですが、”公証” の取得であれば可能です。
前述のとおり、日本の翻訳会社さんでは、”認定翻訳者による翻訳文書” の作成はお願いできませんが、
- 文書を翻訳する
- 翻訳文書に、公証を取得する
- 翻訳文書に、アポスティーユ認証を取得する
といったメニューをお願いすることは可能です。
ただし、通常の翻訳サービスよりもお値段が張ります…。
どの書類に公証とアポスティーユ認証を付ければいいの?
公証とアポスティーユ認証を付けたら確実なことはわかったけど、値段が張るんでしょ?
全部の書類に公証とアポスティーユ認証を付けたら高くつくから、どの書類に付けなければならないのか知りたい!
どの書類に公証とアポスティーユ認証を付けたらよいのでしょうか。
フォロワーさんがフィンランド大使館さんに問い合わせた内容によると、
とのこと。こちらもはっきりとした回答ではありませんが、おそらく
日本の役所で入手した書類は、公証及びアポスティーユ認証が必要で、
その他の書類は、初めから原本を英語で発行できる機関に、発行をお願いしてください。
ということなのでしょう(他の解釈があればお知らせください…)。
もしどうしても不安であれば、すべての書類に公証及びアポスティーユ認証を取得すれば確実です。
翻訳書類にまつわる体験談
公証及びアポスティーユ認証なんてそもそも知らなかった…
こちらは私の体験談です。
私は、交換留学生と正規留学生(進学)として2回フィンランドの在留許可申請を経験しましたが、
どちらの場合も、公証およびアポスティーユ認証を付けた記憶はありませんが、どちらも問題なく審査を通過しました。
翻訳会社のトランスゲートさんに依頼した際のレシートには、
- 源泉徴収票(初年度)翻訳料: 3600円
- 英文翻訳証明書(宣誓供述文)発行料: 1500円
- 納品物送料(レターパックライト): 360円
とあり、合計で5970円でした。
残高証明書は、銀行に初めから英語で発行してもらうように依頼し、
また成績や卒業証明書なども大学に初めから英語で発行してもらうように依頼しました。
公証及びアポスティーユ認証を付けた値段は…
こちらは、情報提供してくださったフォロワーさんの体験談です。
私と同じ書類を、公証およびアポスティーユ認証を付けて依頼したフォロワーさん。
翻訳会社のトランスゲートさんに依頼した際の見積もりは、以下です。
- 源泉徴収票(初年度)翻訳料: 3600円
- 英文翻訳証明書(宣誓供述文)発行料: 1500円
- 公証取得実費: 11500円
- 公証取得手数料: 6000円
- 外務省認証取得手数料: 3000円
- 納品物送料(レターパックライト): 360円
合計は27370円です。
公証およびアポスティーユ認証を付けるだけでかなりの金額です。
フォロワーさんは、他の在フィンランド日本人の方にも聞いてみたようですが、
公証+アポスティーユ認証まで依頼した方や、そうでない方がいたそうです。
最後までご覧くださりありがとうございました。
結局のところ、公証+アポスティーユ認証が必要か必要でないのかは、はっきりしないままです。
私の申請時からシステムに変更がなければ、公証+アポスティーユ認証がなくても審査を通過できるかもしれませんが、
不安な人は、公証+アポスティーユ認証を付けると確実でしょう、としか言えない現状です。
この件に関して何かご存じの方は、是非こちらのブログの問い合わせまたはinstagramから情報提供をお願いします。
最後に、今回ご協力くださったフォロワーさん、ありがとうございました。
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