Tidal wave(高波) – Tom misch
Youtubeのコメント欄でもありましたが、
みんながヒット曲を作ろうとする中、
純粋に音楽を愛し、音楽への忠誠心と芸術性を日々高めようとするアーティストは近年珍しく、
トムはその数少ない中の一人だと思います。
今回の曲「Tidal Wave」は、シンプルでスマートながらも、
どこか懐かしさを感じる、重ためのメロディーラインに、
環境汚染への批判メッセージを込めた作品となっています。
和訳
(青の部分はGenius lyricsからの引用です。ところどころ歌詞に間違いを発見したため取消線を引いています。)
心の奥では、もうどうしようもないことはわかってるだろ?
雨が降りしきる今夜、僕らはただ見てるだけさ。
もう手遅れなんだ。いっぱい言いたいことはあったけど、
もう遅い。もう待つだけさ。
電気が消えたら、僕たちは終わりさ。わかってることじゃないか。
あんなに時間があったのに、僕らは全部無駄にした。
血のように真っ赤に染まる空へ、君は最後に、手を伸ばすだろう
Slipping away
そうして、失われていくんだ…
あぁ、もうあとはカオスさ
高波のような闇夜に飲まれていく…
雨粒が
目に溜まっていくんだ…水が攻めてくるにしたがって。
みんな胸の奥では知ってることだろう、楽しい時を過ごしたけれど、
それがずっと続くなんて、都合のいいことを僕らは考えてたんだ。
僕は、特等席で、ずっと事のすべてを見ていた。
もう残るのは、終わりだけさ。
もうおやすみ。
もう終わった。僕ならこんな道は選ばなかったけれど。
君か僕か、なんて選択肢ね。
Chaos
Growing midnight like a tidal wave
Raindrops
Filling up your eyes as the water takes the stage
用語解説
Growing midnight like a tidal wave
個人的にこの曲で一番好きな表現です。
夜がだんだん更けて、空が夜に飲み込まれていく様子と、
高波が押し寄せてきて、私たちを飲み込む様子を
重ねているのですね。
自然環境が将来昔の状態に回復できるかどうかは、ここ数年の私たちの行動にかかっていて、
この機会を逃すと、もう二度と、自然が回復することは望めなくなる、と言われています。
「もう遅いんだ。後は夜/高波(=自然破壊)に飲み込まれるのを待つのみさ」
と、トムさんは歌っているのではないでしょうか。
後に出てくる「Good night」も、この闇夜とかけているのでしょう。
寝る=夜が迫る、ということで、夜(=自然破壊)が迫ってくる様子を表していると読めます。
we had it good
Have it good で、苦労のない楽しい時間を過ごす、楽な時間を過ごす、です。
この歌詞の中では、Had なので、
楽しい時を過ごした(今までのような裕福な時はもうやってこない)、となります。
あとがき
短い歌詞の中でも、比喩がふんだんに活用されていて、
アーティスティックな表現の中に、強いメッセージ性を感じます。
やはり音楽というのは、人の心に直接訴えかける力がありますね。
歌詞の一言一言に込められたパワーが、トムの柔らかな歌声に乗せられて、
私たちの胸に突き刺さります。
トムはここ最近特に、曲を通じて環境保全を呼びかけることに関心が向いているようで、
先日には「愛する地球のための、僕のお気に入りプレイリスト」を作成し公表しました。
彼は音楽のインスピレーションの多くを自然から得ており、
自然の風景ととてもマッチする曲調が魅力です。
私が彼の曲にどっぷりハマったのも、フィンランド留学中でした。
白樺がさらさらとしなる川辺を見ながら聞くのが、本当に心地よいのです。
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