*Finnish Institute説明会にて得られた情報に、私の経験をプラスしています。
フィンランドの教育について
まずは、フィンランドの教育についてちょっと知っておきましょう。
大学の種類
フィンランドの大学には、総合大学13個と応用科学大学22個があり、どちらも文系理系科目の講義が展開されています。
総合大学(yliopisto)では学術研究に重きが置かれており、
一方、応用科学大学(ammattikorkeakoulu)はより実践的で職業訓練的な内容となっています。
学術ネットワークが発達しており、講座によっては一つの大学に在籍しながら、複数の大学の授業を受講することができます。
つまり、Aの大学にて留学していても、場合によってB大学、C大学から授業が受講できるということです。(例:アールト大学とヘルシンキ大学)
生涯学習ウェルカムな環境
フィンランドの大学生は、個々の事情に合わせて2~4年で大学を卒業します。
男性は兵役が義務づけられているので、大学生の中には一度社会に出て学問に復帰した人まで様々な年代の人がいます。
そのため、私たちが正規留学する際も、現役学生や社会人で応募口が分かれているということもありません。
フィンランド教育のモットー:
フィンランドで大事にされている教育のモットー、
それは、平等な教育機会です。
・授業料が無料(プレスクールから大学院まで)
・プレスクールから高校までの、世界初の無料学校給食の実現
・主体性を重視した個人に合わせた学習
・well-bring(幸せ度)の向上:身体的・精神的・社会的に幸せな暮らし
・”Learning Society”―生涯教育(Learning to Learn)
学び続ける姿勢が国民に備わっています。
フィンランドの最新の小学校を訪問した際の、私の見学の記録。
フィンランドの一生の学習過程
フィンランドでの幼稚園~大学までの学習過程は、以下のようになっています。
フィンランド留学の種類
それでは、次にフィンランドで留学する方法についてお伝えしていきます。
フィンランドでの留学方法は、短期(数週間)から長期(数年)まで、多岐にわたります。
1 交換留学 (半年~1年)
自分の在籍している大学がフィンランドの入学したい大学と協定を結んでいる必要があります。
日本の大学で留学資格を得て、フィンランドの大学へ協定留学します。
2 Visiting Student & Free Mover (半年~1年)
在籍する大学が結んでいる協定校一覧に、
自分の行きたいフィンランドの大学がない場合はこちらがおすすめ。
留学先大学で単位互換をすることもできます。
3 正規留学 (1年以上)
日本の大学に在籍しながら、フィンランドの大学にて勉強する留学とは異なり、
フィンランドの大学に入学し、卒業を目指す留学を正規留学といいます(または学位取得留学)。
学士や修士での正規留学が可能です。
正規留学の具体的な手続き方法は、こちらから!
4 博士課程の正規留学 (短期~長期)
こちらも、フィンランドの博士課程に入学し、卒業を目指す研究留学です。
中には博士課程において交換留学することができるところもあるようです。
正規留学の場合、博士課程はなんと授業料無料!
場合によっては、お給料までもらって博士のプログラムを修了することもできるようです。
5 その他 (もっと短期で留学したい人向け)
・サマースクール (2~3週間)
フィンランドの各大学が、夏の間だけの期間限定スクールを開いています。
申請すれば誰でも受けることができます。
・国民成人学校
大学の準備コースのような専門的なコースもあります。
日本からフィンランドに留学する際のファーストステップとして、民成人学校に留学してから、
フィンランドの総合大学や応用科学大学に入学するということもあるそうです。
・夏季大学
・大学付属の言語センター
・労働者教育センター
・生涯教育センターでの言語、IT、手芸など。
・カルチャー留学(フィンランドセンター主催)
正規留学の出願について
出願の流れ
フィンランドの大学は秋留学が主流ですが、春留学もあります。
詳しい内容は、こちらで手取り足取り説明していますが、
ざっくりいうと、
1)留学先大学・コースを探す
studyinfinland.fiで学びたい分野を調べます。
この際、TOEFLやIELTSが何点必要か確認しておきましょう。
2)申請
秋留学:前年11月~翌年1月頃に出願
春留学:前年9月頃に出願
この時、申請方法が個別申請と併願(最大6学科まで)のどちらか、確認するのを忘れずに。
3)入学手続き
秋留学:入学審査結果は6月頃までに知らされる
春留学:入学審査結果は11月頃までに知らされる
4)渡航準備
秋留学:9月出発
春留学:1月出発
といった感じです。
渡航準備には、ビザ申請や保険の加入など、様々なものがあり、
煩雑で時間がかかります。
是非こちらの記事を参考に、余裕を持って取り組みましょう。
奨学金
フィンランドの大学では授業料を納めなければなりませんが、
多くの大学では、出願時のスコアが高かった者に「授業料免除」という奨学金を付与しています。
この、フィンランドの大学が提供する奨学金は、出願と同時に申し込みます。
奨学金の申し込み方の具体的な方法については、こちらで解説しています。
また、出願時のスコアってどう決まるの?どのくらいの人がもらえるの?
といった疑問には、こちらの記事でお答えしています。
フィンランドの大学が提供する奨学金以外にも、日本からフィンランドの大学に留学する学生を対象とした文部科学省やササカワ財団奨学金などがありますよ。
大学の学習環境
英語のプログラムはどれくらいあるの?
フィンランドの公用語はフィンランド語とスウェーデン語ですが、
大学では、学士・修士課程合計で、英語でのコースが計450以上用意されており、
英語での学位の取得も大いに可能です!
ただ、修士や博士課程は基本的に英語である一方、
学士においては英語で受講できるものが限られています。
ちなみに、交換留学の場合は、留学生向け授業が用意されているため、すべて英語で受講できます。
学校生活の様子
留学生サポート(チューター制度)があり、留学前から質問に対応してくれます。
また到着後も、特にはじめの数週間のお世話を担ってくれます。
秋留学の場合は、9月頃に学生ユニオンによるレクリエーションなどが盛んにおこなわれます。
筆者はみんなで仮装して音楽を爆音でかけながら、お酒片手に市内を循環しクイズを解いていく、
という伝統のレクリエーションに参加しました。
学校のカレンダーは、
秋学期9月~12月、春学期1月~6月
クリスマス休暇(12月下旬)とイースター休暇(4月下旬)がそれぞれ2週間ほど、
夏休み(6月~8月)は3か月、
となっています。
授業について
・必須・選択科目がある。
主専攻(Major)と副専攻(Minor)があり、
例えば主専攻がコンピュータサイエンスだったとしても、副専攻でドイツ語を取ることもできます。
・授業形態は、グループで行うもの~講義まで様々。
私の経験上では、グループ授業は思ったより少ないという印象です。
教育や異文化コミュニケーションなどは比較的グループ授業や課外授業が多い印象ですが、
サイエンス分野は講義形態が多いです(なお、大学によって異なります)。
・ヨーロッパ圏の留学生が多い
EU圏の学生は容易にフィンランドへ留学することが可能なため、
留学生には特にスペイン、フランス、ドイツからの学生がとても多いです。
・不規則なスケジュール
授業は日本の大学のように毎週同じ時間に開講されるとは限りません。
ある授業は5日にわたって集中的に行われたりするなど、かなりばらつきがあります。
そのため、他の講義と被ってしまうことも。
そういった場合は、先生に申し出れば欠席した授業の代わりとなる課題を与えてくれます。
・ストレスフリーな学習環境
比較的ストレスフリーな学習環境で、旅行に行くから数週間授業に出れませんと申し出ると、
代わりの課題を与えて承諾してくださる先生などもいます。
ときどき締切の期日も多めに見てくれたり…(小声)
成績のつけ方
履修する授業によって異なりますが、
・グループプレゼンテーション
・論述試験
・ポートフォリオ(美術系の学部)
・学習日記(その日習ったことをまとめる)
・数冊本を読んでテストに臨む
ものなど様々です。
しかし、共通して言えることは、覚えるだけの試験は出ないということです。
フィンランドの学校は、小学校の頃から、あまり暗記に重点を置いていません。
生活環境について
国土の78%が森林に覆われ、18万以上の湖沼(10%)が点在するという、
自然と人との距離が非常に近い暮らしです。
首都ヘルシンキですら、一時間あれば森のど真ん中に行きつくことが可能です。
白夜yöton yö や 極夜 kaamos を体験することができ、
オーロラは非常に運が良ければ見つけることができるかもしれません。
オーロラは、ラップランド地方はもう少し頻繁に見られます。
ヘルシンキではまず見られません。東フィンランドは数年に1回ほど。
また、白夜/極夜に関して、
ラップランドでは完全に日が沈まない/昇らない日々がありますが、
その他の地域では、完全に白夜/極夜になることはありません。
冬の東フィンランドでは、一番短い時で日照時間が4時間くらいでした。
冬のフィンランドを生き抜くおすすめの服装から、体感温度まで、経験を元にまとめました。
詳しくはこちらから。
学費や生活費はいくらくらいかかるのか?
学費
目安 約96万円~216万円(€8000-18000/年)
2017年以降、日本などEU/EEA県外からの留学生に対し、授業料が有償になりました。
ただし、博士は無料です。
また、総合大学では、授業料とは別に student union fee を納めなければならず、
これはだいたい80~100€です。
student union fee を納めることで、学生証がもらえ、町中で学割が効くようになります。
応用科学大学では、student union fee は任意です。
生活費
目安としては、一か月8万円。
生活費が高いと言われているフィンランドですが、実は学生にとっては非常にお手頃です。
食堂は場所によりますが約2€ほど(200円くらい)で、
メイン一食と、パンとサラダ食べ放題バーが付いてきます。
交通機関においても学生の場合は最大で半額になったり、
街のほとんどの飲食店でも学割が効きます。
野菜や果物は日本より安く、化粧品や衣類は日本とほぼ同じくらいの値段で購入することができます。
また、現地ではセカンドハンドショップが充実
(大学が無料で前の留学生が残していった食器を配布している場合もある)しているため、
お手頃価格で生活用品をそろえることが可能。
家賃はもちろん、ヘルシンキが最も高いです。
フィンランドでは住居を見つけるのが大変ですが、
ヘルシンキにはそれにもまして苦労します。早い段階から探し始めましょう。
ビザやパスポートに関して
90日以下の滞在
フィンランド観光(90日以下の就労目的でない滞在)の場合は、
パスポートのみで滞在可能です。
ただし、パスポートの有効期限には注意が必要ですので、こちらからチェックしてください。
また、シェンゲン協定で他国へ移動される方に向けて、シェンゲン協定に関する注意もまとめました。
こちらからご覧ください。
90日以上の滞在
フィンランド留学など、フィンランドに90日以上滞在する場合は、以下が必要になります。
・長期滞在者用ビザ(在留許可証)
・有効残存期間が残っているパスポート
または90日以下でも、就労目的での滞在の場合はこれらが必要になります。
詳しいビザ申請の方法は、こちらにて説明しています。
Q&A
Q. なぜ 併願(joint application)と個別申請、両方存在しているのか?
すべての大学で併願か個別申請か、どちらかに統一されていないためです。大学によって併願なのか、個別申請なのか変わってきますので、最新情報は常に各大学の公式HPから確認するか、各大学に問い合わせメールを送ってみてください。
Q. Joint Applicationでは、Motivation Letterの内容を各大学によって変更できるか?
こちらのQ&Aをご覧ください。
Q. フィンランドでの留学中にインターンシップに挑戦したいが、どのような方法があるか?
大学から学生に定期的に送られてくるメールから情報を得ることもできますし、インターネットで各自探すこともできます。
インターンシップのwebsite: https://www.aarresaari.net/index.php?32&uniid=7&lang_id=1
Q. ボランティアやアルバイトは、留学生でも参加できるか?
アルバイト:外国人なら週25時間くらい就労可能。
ボランティア:参加可能。
アルバイトもボランティアも、大学がメーリングリストにて周知してくれることがあります。
<フィンランドセンター原さんの体験談>
友人に話していたら、「こういうのあるよ」と後日ボランティア団体を紹介してもらいました。
周りに常日頃言っていると、チャンスをもらうことがあります。
具体的には、当時移民・難民政策を学んでいたこともあり、現地のソマリア難民のシェルターでのボランティアに参加しました。
大学からのメーリングリストは来なかったので、自分で探しましたが、インターン・アルバイトは探すのが大変で、結局見つからず帰国しました。
私も周囲に聞いて回っていたのですが、唯一教えてもらった機会も、その年の旅行者(顧客)が少なかったためキャンセルになってしまいました。
ボランティアに関しては、友達づてで紹介してもらった現地の気楽な団体で、たまにイベントのお手伝いをさせていただいたくらいです。友人は workawayというwebsiteを使って、夏の間オペアをしていました。このサイトには他にもいろんなボランティア内容があるので、是非チェックしてみてください。
また、友達づてで現地のインターンシップに携わっている友人もいます。インターンシップは友達づてという方がほとんどのようです。
Q. バイトは可能か。
可能です。ただし、学生ビザは週25時間までと定められています。
各大学の指示に従いましょう。
Q. 自分が今就職している仕事の内容と、志望する大学院の学習内容が食い違っていた場合でも、応募できるか?一貫性がなくても大丈夫か?
自分が今までしてきたことを、これから勉強したいこと・将来取り組んでいきたいことに紐づけられればOK。
一貫性がなくても、自分の目標を計画的に説明できれば大丈夫。
要は、向こうはどうしてその大学で学びたいか、それをどう将来に生かしていきたいのか、を知りたいので、
基本的なことをしっかり説明できるように準備しましょう。
なお、これまでの学歴・経歴と院で学びたいコースとの合致性の判断基準は公開されていません。
モチベーションレターの例はこちら!
Q. 新型コロナウイルス感染拡大での留学への影響は?
5月中旬ごろまでのリモート学習は決定していますが、その後は未定。
秋からの新学期は、毎年通りの予定です。
Q. フィンランドで就職するにはどうすればよいか
正規留学を経て卒業すると、就職口が見つかりやすいです。それ以外で、ストレートにフィンランドにて就職するには、プログラミングなどの仕事で就職するのが最も有力。
正規留学を経て卒業し、就職する場合でも、フィンランド語ができなければかなり苦しいですが、プログラミング枠では英語でも就職が可能な場合がほとんどです。
正規留学を経た場合、学生ビザが切れても卒業後一年間、就職活動期間が与えられます。就労ビザもサポートされやすいです。
Q. フィンランド語を学びたいのですが、日本国内で学べる学校はありますか?
四ツ谷にある「ディラ国際語学アカデミー」
横浜・新宿・立川・湘南にある「朝日カルチャーセンター」
横浜の「読売・日本テレビ文化センター」
Finnish Institute フィンランドセンター
などがあります。
Q. フィンランドで需要の高い外国人像はありますか?
特異なスキルを持った人材が求められていて、先ほど述べた通り、
プログラミングなどのIT関係が圧倒的人気です。
Q. フィンランドの大学に申請する際、フィンランド語を話せることで優遇されることはあるのか?
学部によります。フィンランド語学科などは確実に優遇されると思われますが、
全体的に見れば、アドバンテージとして見られると思います。
Q. フィンランドはどういった学問が強いのか?
やはり教育が最も強いです。フィンランド語で受けられる教師養成校では、
ユバスキュラやタンペレの学校が強いです。
Q. 社会人でも留学できるか?
よくいただく質問です。社会人でも当然留学は可能です。
フィンランドでは「学びたいときに学ぶ」理念が根付いており、大学には様々な年齢層の方がいます。
また、出願時のアピールポイントとなるため、社会人経験がある方が実は有利かもしれません。
詳しくはこちらから。
Q. 国民高等学校について知りたいのですが
フィンランド語でしか情報がありませんが、こちらのwebsiteがあります:kansalaisopisto.fi
Q. 学校選びやビザ手配のアドバイスは、留学エージェントを利用するのが一般的?
いいえ、自身で調べることが前提となっています。留学エージェントはほとんどありません。
各大学のHPを隅から隅までよく見て、studyinfo.fiなどをよくかみ砕いて理解しましょう。
VISAの申請過程についても質問がたくさん浮かんでくると思いますが、できる限り良識の範囲内で自分で判断して進めましょう。
どうしてもわからないことがあれば、フィンランド移民局へ問い合わせてみましょう。
Finnish instituteの方では、留学に関する質問を受け付けていらっしゃるそうです。
Q. フィンランド国内で発信されているニュースサイトは?
Yle(国営放送)
フィンランド留学に関する記事一覧
フィンランド語の曲で楽しく学ぼう!
当ブログでは、フィンランド留学にチャレンジされる方の不安を少しでも軽くするために、
留学手続きに関する記事を多く投稿しております。
インスタグラムの方でも質問を受け付けますので、DMにてお申しつけください。
また、同じような境遇の方と相談し合えるグループチャットもインスタグラムの方に設置してありますので、
興味のある方はお問合せフォームまたはインスタグラムDMにて是非ご一報ください。
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